世界情勢の変化などで、為替相場が大きく変動することがあります。その影響をもろに受けるのが、企業です。グローバルサプライチェーンが構築されている現代では、輸入産業・輸出産業にかかわらず為替の影響を受けずに済む企業は少ないといえます。こちらでは、資金繰りに影響を与える要因を紐解き、ファクタリングが資金調達に有効な手段といえる理由を考えます。
【為替が資金繰りに大きな影響を与えている】
グローバル社会となり、為替の変動が企業活動にインパクトを与えているようになっています。円高にしても円安にしても、急激な為替相場の変動が起きると、予想以上に損失が膨らみ、資金繰りに悪影響を及ぼすことがあります。こちらでは、輸入産業・輸出産業それぞれが直面しうる問題を分けて説明します。
輸入産業の中でも、材料などの調達を海外に頼り、売上の大半を国内に依存する製造業の企業では、円安が急激に進んだ際、業績の下振れだけでなく、資金繰りが問題になる場合があります。材料の代金支払いよりも、売掛金の回収サイトの方が遅い点がキャッシュフローを悪化させる原因です。原材料コストの上昇で収益を圧迫されるため、資金繰り悪化に拍車をかけることが懸念されます。2022年初頭に始まったウクライナ侵攻により、主要な原料輸出国であるロシアからの輸入が難しくなり、物価高騰は深刻です。それに加え、円安が拍車をかけているため、価格転嫁が進まない輸入産業にとっては大きな痛手といえます。
次に輸出産業ですが、机上の計算では、円安の影響は輸出産業に追い風になるとされ、短期的には収支が悪化しても、長い目で見ると売上が増加するというのが定説です。それでも、物事は単純にはいきません。輸入産業と同様、輸出産業においても世界的な材料不足の影響を受ける可能性が高いからです。日本の産業構造から考えると、半導体や樹脂、鉄鋼など、製品に欠かせない材料の大半を輸入に頼るケースが多く、供給不足から思うように製品を作れない状況が生じます。さらに、製造工程に必須となるエネルギー価格も高騰しているので、せっかくの円安の恩恵を受けられない企業も続出しています。
自社が直接輸出入にかかわっていなくても、関係する企業の事業形態により影響が出るのは必須です。キャッシュフローの悪化が表面化すれば、受注件数が減ったり、クオリティの高い材料を購入できないといった事態が生じえます。資金繰りに深刻な影響を与えないよう、十分な対策を講じておくことは各企業にとって喫緊の課題といえます。その点を解消する手段の一つとなるのが、ファクタリングです。
【為替影響を受ける企業にとってファクタリングは有用な手段となる】
為替影響を受けるのは、輸入・輸出産業共通で、プラス要因を打ち消すマイナス要素もあるため、資金調達がより困難になっています。政府も対策を講じていますが、効果は限定される場合もあり、各企業で自己防衛する取り組みが重要です。資金繰りの問題を早期に解決できる見込みがある手段として、ファクタリングが注目されています。
資金調達の方法として、借入を思い浮かべる経営者や個人事業主は多いと思いますが、長期的な設備投資などには有用なものの、短期間に資金を調達する手段としては疑問符が付きます。政府や自治体の支援策にしても、金融機関からの直接的な借入にしても審査が必要で、結果を待っている間にも為替が急激に動き、当初想定していた借入額では追い付かない場合があるからです。一時的に受注が増えたり、材料調達コストが急激に上がった場合も、柔軟な対応が難しい借入は向いていないといわざるを得ません。
一方、ファクタリングは、取引実績がある取引先の請求書を譲渡することで、もともとの支払期日よりも早く売掛債権を現金化できるサービスです。最短即日から3日程度で入金され、借入枠とは別に資金調達の手段を持てるのは大きなメリットです。また、2者間ファクタリングを利用すれば、売掛先企業へ通知がなされないので、無用な信用不安を引き起こす恐れがないのもよい点といえます。
ファクタリングは、国際ファクタリングの仕組みを利用すると、海外企業との取引でも活用が可能です。日本のファクタリングは、売掛債権を買い取ってもらうことで早期の資金調達を実現できますが、国際ファクタリングは、自社と売掛先である海外企業に加え、国内・海外のファクタリング会社を含む4社がかかわる取引となります。輸出入代金の回収リスクを抑える仕組みであるL/C(信用状)を使った取引より、スピーディーなやり取りが可能になる点が国際ファクタリングのメリットです。
ファクタリングにより資金調達が改善するケースは増えています。ある貿易業を営む企業は、スマートフォン用アクセサリーをアジア圏から買い付けて国内で販売していますが、新機種が出るタイミングで製品を大量に注文する際に急激な為替変動が起こると、資金繰りが予測しにくくなる点が問題となっていました。受注した分のキャンセルや減産などを依頼するのが難しい点もキャッシュフローが苦しくなる原因でしたが、ファクタリングを利用し、売掛債権を1日で現金化できたことで、難局を回避しやすくなっているようです。
【輸入・輸出企業はファクタリングを検討する価値あり】
世界のさまざまな出来事が為替に大きく影響を与え、輸入・輸出企業を中心に資金繰りの難しさを引き起こしています。資金調達の手段として、借入以外の融通が利く資金調達手段を持っておくことは、輸入・輸出産業を問わず求められています。短期で資金を得られるほか、借入とは別に資金調達ができるファクタリングは魅力的です。海外と直接取引がある企業は、国際ファクタリングを含めて活用を検討するとよいでしょう。