事業を円滑に進めていくためには、売掛金の取り扱いが重要なポイントになります。売掛金が順調に回収できる間は問題ありませんが、取引先の経営状況が悪化することで回収に遅延が生じたりすれば、たちまち資金繰りが滞ってしまいます。そのようなリスクを回避する方法にファクタリングがありますが、この記事ではその活用方法について解説します。
【資金繰りが悪化する要因とは?】
資金繰りが悪化してしまう主な要因としては、売上の減少や在庫の抱えすぎ、設備投資などによる支出の増加などがありますが、中でも売掛金の増加が経営を圧迫する大きな原因となっています。売掛金が増えるとキャッシュフローの悪化を招くので、保有している売掛金は早期に回収しなくてはなりません。そのためにはまず、支払いサイトを短縮する必要があります。支払いサイトとはサービスや商品の提供時点から代金を回収するまでの期間をいいます。事業を進めるためには仕入れや設備投資などを行う必要があり、売掛金もその運転資金の一部として支払い計画の中に組み込まれています。しかし万が一、相手先からの支払いに遅延が生じた際には、仕入れや社員への給与など、支払い資金としてあてにしていた現金が入ってこないことになり、資金繰りがたちまち悪化して身動きができなくなってしまうのです。
このようなリスクを避けるために、すぐに行動に移せる方法としては、支払いサイトが長すぎる取引先に対して、短縮化の交渉を行うということがあります。付き合いが長ければ長いほど交渉しにくい内容ではありますが。この手間を怠ると資金繰りの悪化リスクを放置することにつながってしまいます。さらに支払いが遅延しているうちはまだしも、これが相手先の倒産といった事態にまで至ると事態は深刻です。資金繰りの計画は完全に壊れ、業績がよくても売掛金が回収できないために事業が継続できなくなる、いわゆる「黒字倒産」といった最悪の結果をも招きかねません。
しかし、どうしても支払いサイトが短縮できない、しかもすぐにまとまった資金が必要だといった場合には、銀行からの借り入れや、国や自治体の融資制度などを利用して資金を調達するという方法があります。ただし、銀行融資には厳しい貸し出し基準があり、自治体などの融資制度では審査に時間がかかるといったデメリットもあります。しかしもう一つ、売掛金の未回収リスクを回避できる資金調達法にファクタリングという方法があります。ファクタリングであれば、厳しい審査もなく短時間で必要な資金を手にすることが可能です。
【売掛金を債権として資金調達に活用する方法とは?】
ファクタリングとは、売掛金を債権として活用する方法です。融資ではありませんので保証人や担保物件などは必要ありません。具体的には、保有している売掛金を債権としてファクタリング会社に売却するという方法を取り、手数料を差し引いた差額が支払われるという仕組みとなります。売却した時点で、取引先のデフォルトなどによる貸し倒れのリスクなども解消されます。では、実際にファクタリングを活用する手順について確認していきましょう。
~準備するもの~
依頼するファクタリング会社によって異なるケースがありますが、金融債権となる請求書などのほかに、登記簿謄本や身分証明書、印鑑証明書、通帳、法人の場合であれば決算書、個人であれば確定申告書などを用意します。一連の審査はオンラインで完結するケースが多いですが、電話などによる確認が行われることもあります。
~2者間ファクタリングか3者間ファクタリングかを選ぶ~
依頼者とファクタリング会社だけで行うのが2者間ファクタリングです。契約が成立すると債権金額から手数料を引いた現金が振り込まれます。手数料は高くなりますが、取引先にはファクタリング使用の事実を知られることがないので、その後の関係が悪くなるのでは、といった懸念はなくなります。一方、依頼者とファクタリング会社に加えて取引先も含めて行うのが3者間ファクタリングです。取引先にもファクタリングの事実を伝えることでその後の関係性に影響が出る恐れはありますが、2者間ファクタリングと比較した場合、手数料は安く抑えることができます。
ファクタリングを利用することで、無担保で短時間のうちに必要な現金を手にすることができ、取引先の倒産などによる貸し倒れの心配からも逃れられるようになりますが、注意点もあります。一つには取引先との契約書に「債権譲渡禁止の記載」がないかどうかという点です。債権譲渡が禁止されている契約ではファクタリング自体を行うことができません。もう一つは売掛債権は支払い前のものに限るという点です。すでに支払いの期日を過ぎて不良債権となったものについてはファクタリングの対象から除かれてしまいます。ファクタリングを依頼する際は、この2点を事前に確認しておきましょう。
【資金繰りが悪化する前に、売掛金が即現金化でき取引先の経営破綻リスクも回避できるファクタリングの活用を】
売掛金が積み重なると資金繰りが悪化して経営状況を圧迫します。そのまま放置してしまうと、最悪の場合は取引先のデフォルトなどで回収不可能になってしまう恐れもあります。そのような事態に陥らないためには、まず売掛の回収条件を改善することが大切ですが、それでも難しい場合は、売掛金が現金化でき、貸し倒れのリスクも回避できるファクタリングを活用することも有効な方法です。