ファクタリングは、金融機関から融資を受ける場合よりも、早く資金を調達することができ、利用するハードルも比較的低いことが特徴です。ただ、どのような場合でもファクタリングを利用できるわけではなく、利用前には審査があります。そして、審査に通って初めて、ファクタリングを利用できるようになります。では、具体的にどういった審査内容なのかを解説していきます。
【取引先の信用情報が重視される】
ファクタリングを利用する場合、審査で重視されるのは、利用者ではなく取引先です。ファクタリングでは、取引先からの売掛金が担保となります。万が一、取引先から売掛金が支払われなかった場合、ファクタリング事業者は担保を回収することができず、赤字になってしまいます。そのようなことにならないために、問題なく売掛金を支払うことができるのかどうかが重視されます。よって、ファクタリング事業者は、利用者から提供された情報を元に、取引先の審査を行います。
ファクタリングの審査は、信用調査会社が提供する企業のデータベースを元にして行われるのが基本です。そのデータベースで、まずは取引先が実在しているかどうかが確かめられます。そして、取引先の経営状況や取引実績が確かめられます。審査基準が低いファクタリング事業者であれば、取引先が実在していて、なおかつ複数回の取引実績があれば審査に通る場合が多いです。
銀行の融資では、信用情報機関を利用して、事業の代表者個人の信用調査が行われることが多いです。しかし、ファクタリングでは、個人の信用調査は行われません。基本的にファクタリング事業者が、信用情報機関に加盟していないからです。未加盟なので、個人の信用情報を得られません。さらに、取引先の代表者の信用調査を行う場合、取引先からの許可を得なければなりません。よって、取引先に知らせずにファクタリングを利用する2社間ファクタリングでは、個人の信用調査をすることが不可能です。したがって、個人ではなく、あくまでも法人として信用できるのかが重要視されます。
【利用者は身元の証明が必要】
ファクタリングの審査では、取引先の信用度が重視されますが、利用者が全く審査されないわけではありません。ファクタリング事業者を狙った詐欺ではないということを証明するために、身元を明らかにする必要があります。ただ、利用者の審査は決して複雑ではなく、個人法人を問わず、身分証明書を提示したり証明書のコピーを提出したりする程度で済みます。利用者の身分証明のために、担保を用意しなければならないことは、原則としてありません。
【審査に落ちてしまう代表的なパターン】
ファクタリングの審査に落ちてしまう原因としては、取引先の実在を証明できないことが挙げられます。取引先が実在していたとしても、利用者が提供する情報に不備があると、ファクタリング事業者が取引先の実在を確認できなくなることがあります。その結果、取引先は実在しないものとして扱われ、審査に落ちてしまうわけです。そのようなことにならないために、ファクタリング事業者には正しい情報を提供する必要があります。
また、取引先の経営状況が悪い場合も、審査に落ちやすくなります。ファクタリングは、売掛金を回収することが非常に重要です。しかし、取引先が倒産してしまうと、売掛金の回収が不可能になり、ファクタリング事業者の赤字となります。そうなることを未然に防ぐために、経営状況が悪い取引先を対象にしたファクタリングは、審査に落とされる可能性が高いです。したがって、ファクタリングを利用する際には、経営状況が良好な取引先を対象にした方が無難です。
ファクタリングの審査では、個人ではなく法人の信用調査が行われます。そのため、取引先が個人事業主だった場合も、審査に落ちる可能性が高くなります。法人登録をしていないと、ファクタリング事業者が企業のデータベースとして、実態を把握することができません。その上、信用情報機関の利用も不可能なので、取引先が信用できるかどうかがわからず、審査に落とさざるを得なくなる形です。
取引先が個人事業主だからといって、問答無用で審査に落とされるわけではありません。ただ、法人よりは審査に通りにくくなります。また、ファクタリング事業者の中には、利用者の信用もしっかり確認するところもあります。その場合、利用者が個人事業主だと、審査のハードルが高くなる恐れがあります。よって、個人事業主が利用する場合、個人利用にも対応しているファクタリング事業者を選ばなければなりません。
【ファクタリングは審査に落ちる可能性もある】
ファクタリングは、銀行の融資よりは手軽に利用できます。しかし、必ずしも利用できるとは限らず、審査に通らなければなりません。そして、主に取引先の信用情報次第で、審査に落ちてしまうかもしれません。そのため、取引先が個人事業主であったり、経営が厳しかったりする場合に、ファクタリングを利用する際には、審査に落ちる可能性も考慮しておきましょう。