企業は様々な税金を納める義務があります。
代表的なものとしては、個人事業主なら所得税、法人なら法人税が挙げられますが、その他にも納めるべき税金の種類は多岐にわたります。
しかしながら、正確にどの種類の税金を支払っているかを把握している人は意外と少ないかもしれません。
会社の経営は、売上から経費を差し引いたものが利益とされがちですが、会計を正確に処理して、利益から各種税金を適切に支払う必要があります。
本記事では、税金に関する基本知識や種類について説明します。
目次
【税金の主な役割と3つの原則】
税金の主な役割は4つあります。
1つ目は、財源調達と再配分で、高い所得のある人には多くの税金を課して、低い所得のある人には少なく課すことで、貧富の格差を縮小し社会を安定化させます。
2つ目は、景気の調整による経済の安定化で、景気が良いときには税収が増え、悪いときには減ることで民間経済を調整します。
3つ目は、経済政策の手段として、税金の免除、控除、軽減税率の適用などで経済政策を支援します。
4つ目は、国内産業の保護で、輸入品に対して関税を課したり、輸出企業に減税を行ったりして国内産業を保護します。
税制は、誰もが広く分かち合うために「公平の原則」、「中立の原則」、「簡素の原則」の3つの原則に基づいて設計されています。
公平の原則には、経済力が同等の人が同等に税を負担する「水平的公平」と、経済力のある人には多くの税を負担してもらう「垂直的公平」の2つがあります。
また、最近では高齢者と現役世代の格差を調整する世代間の公平も重視されています。
中立の原則は、企業や個人の経済活動において、税制が選択を歪めないようにすることです。
簡素の原則は、納税者全員が理解しやすく、税制の仕組みをできるだけ簡潔にすることを目的としています。
【会社が支払うべき税金の種類】
会社が支払うべき税金は、法人税以外にもたくさんあります。具体的にはどのような種類があるのでしょうか。
・法人税及び復興特別法人税
まず、消費税を納税している会社は、消費税を除いた利益に対して法人税がかかります。
法人税の税率は、資本金の額によって異なります。
資本金が1億円以下の場合、課税所得金額が800万円以下の場合は15%、800万円を超える場合は23.9%の税率が適用されます。
資本金が1億円を超える場合は、一律23.9%の税率が適用されます。
また、資本金が1億円以下の会社を「中小法人」と呼び、中小法人には税率優遇措置や欠損金の繰り戻し還付などの特典があります。
さらに、復興特別法人税は、平成24年4月1日から平成26年3月31日まで施行されました。
・法人住民税
法人住民税には、資本金に応じて課税される「均等割」、法人税額に応じて課税される「法人税割」、金融機関に預けてある預貯金の利子に課税する「利子割」があります。
法人税額が1000万円以下の一般的な中小法人の場合、年間の法人住民税は大抵7万円程度です。
法人税割は、東京23区内に事務所がある場合は都道府県に対して3.2%、市町村に対して9.7%となります。
・法人事業税
法人事業税は法人住民税と一緒に申告されます。利益がある会社に課税されますが、所得額によって段階的に税率が変化します。
・消費税
会社の資本金が1000万円未満の場合、課税売上高が1000万円を超えた時点で消費税の納税義務が発生します。
納付は、1000万円を超えた年度の翌々年から1年間あけて行われます。
・印紙税
課税文書を作成する場合、収入印紙を貼り付け、割印を押すことで納税する税金が印紙税です。
この税金は、領収書などの課税文書が5万円以上の場合にかかります。
・登録免許税
法務局での登記手続きに伴って課せられる税金であり、収入印紙を貼付して納税することが必要です。
・所得税
所得税は、役員報酬や従業員の給与から源泉徴収される源泉所得税や、原稿料や税理士報酬などの報酬源泉にかかる源泉徴収義務があります。
企業は、これらの源泉を預かって納税することになります。
・固定資産税
会社が所有する土地、建物、償却資産などにかかる地方税で、課税対象となる資産は毎年1月1日における状況が基準となります。税率は1.4%です。
・自動車関連の税金
自動車に関する税金には、いくつか種類があります。
自動車税は所有者が4月1日時点で所有する自動車にかかる税金で、排気量によって税額が異なります。
自動車重量税は車検時に納税する税金で、車両の重量に応じて課税されます。
また、自動車取得税は自動車を取得したときにかかる税金です。
さらに、輸入業者は保税地域から引き取るときに輸入消費税や関税などがかかります。
上述の税金は主に国に納税される税金ですが、その他にも課税されるものがあります。
代表的なものには、酒税、揮発油税、軽油引取税、関税、道府県や市町村のたばこ税、入湯税などがあります。
特に、酒税は細かく税額が設定されており、酒類の種類(日本酒、ビール、ウィスキーなど)やアルコール度数によって税額が異なります。
例えば、ビール大瓶1本(633ml)の場合、酒税は139円となります。
また、アルコール度数が1度未満の飲料は課税対象外となります。
酒税は、酒類製造者または輸入業者が国に納税しますが、実際には販売価格に含まれているため、納税負担者は消費者です。
同様に、たばこ税も製造業者または輸入業者が国と地方自治体に納税しますが、実際の納税負担者は販売価格に含まれているため、消費者となります。
【税金の基礎知識を押さえて節税を考えよう】
企業は、社会に有益な商品やサービスを提供すると同時に、一定の利益を上げて納税の責任を果たす必要があります。
しかし、税金の負担が大きいと感じる場合は、本記事で解説したポイントを確認し節税対策を検討することがおすすめです。
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