事業の運営において無償で資金を受け取ることができるのが助成金です。助成金は、対象者を雇用している場合に国から支給されるため、経営環境の改善や会社の発展に大きく役立つ制度です。特に経営者は助成金制度を理解しておくことが必要です。
助成金の対象となるシーンは、新規雇用、定年延長、社員の研修・育成など様々です。ただ、受けられる制度が多数あるため情報が混乱しやすいのが難点です。
そこで、今回は中小企業が受け取ることができるおすすめの助成金を紹介します。助成金は事業の拡大や取り組みをサポートする制度なので、ぜひ参考にしてください。
目次
【そもそも助成金とは?】
助成金とは、事業者を支援するために国が給付するお金です。主に厚生労働省が運営し、雇用保険に加入している事業所であれば、業種に関わらず活用できる制度です。助成金の受給に必要な手続きは、助成金ごとに異なります。以下は一般的な受給手続きの流れです。
1.受給条件を確認する
2.必要書類を作成し、期限内に提出する
3.審査通過後、交付申請書を提出する
4.事業を運営する
5.助成金の交付申請を行う
年度ごとに手続き方法や対象者が異なるため、事前に確認することが重要です。期限を守らなかったり、条件を満たさなかった場合は、支給されない可能性があるので注意が必要です。
助成金は、雇用保険料から支払われ、雇用保険に加入している会社が支払った社会保険料の一部から給付されます。そのため、受給したお金は返済する必要がなく、使い道にも制限がありません。
助成金の対象には、新たに人を雇用する場合や定年を延ばす場合、社員を研修・育成する場合、経営環境の改善をする場合などがあります。条件を満たしている事業者が申請し承諾されれば、助成金を受給することができます。
【中小企業が活用する主な助成金】
~キャリアアップ助成金~
キャリアアップ助成金は、非正規雇用である契約社員、アルバイト、パート、派遣社員などを雇用している企業が、彼らを正社員に昇格させたり処遇を改善したりする取り組みを実施した場合に支援される助成金です。
この助成金には7つのコースがあり、「正社員化コース」「障害者正社員化コース」「賃金規定改定コース」「賃金規定等共通化コース」「賞与・退職金制度導入コース」「選択的適用拡大導入処遇改善コース」「短時間労働者労働時間延長コース」があります。
キャリアアップに成功した場合、中小企業では1人あたり57万円(生産性が向上した場合は72万円)、大手企業では1人あたり42万7千5百円(生産性が向上した場合は54万円)が支給されます。
~人材確保等支援助成金~
人材確保等支援助成金は、魅力的な職場環境を整備し、人材確保と定着を促すために支払われる助成金です。賃金や昇給の向上、生産性の向上を目的とした制度です。
この助成金には、「雇用管理制度助成コース」「介護福祉器助成コース」「中小企業団体助成コース」「人事評価改善等助成コース」など、9つのコースがあります。令和3年には、テレワークコースが追加され、パソコンやスマートフォンなどのテレワークに必要な機器の導入助成を行い、中小企業の人材確保と雇用管理改善を支援しています。
~人材開発支援助成金~
人材開発支援助成金とは、企業が雇用保険をかけている労働者のキャリア形成を促進するため、職業訓練を実施することや教育訓練休暇制度を適用することなどによって、専門的な知識や技能を習得させる事業主を支援する助成金制度です。
人材開発支援助成金には、「特定訓練コース」、「一般訓練コース」、「教育訓練等休暇付与コース」、「特別育成訓練コース」、「建設労働者認定訓練コース」、「建設労働者技能実習コース」、「障害者職業能力開発コース」、「人への投資コース」の8つのコースがあります。
「キャリアアップ助成金」と似ているため、混同されることがありますが、対象者や目的が異なることに注意してください。従業員のキャリア形成を支援する助成制度であり、ぜひ活用してください。
【必要であれば、助成金を申請して受給しましょう。】
助成金は、所定の条件を満たした事業主のみが受給できる制度です。助成金には細かな条件が設けられており、申請期限内に必要書類を提出する必要があります。不備がある場合は受給できないため、注意が必要です。
また、助成金の項目は時代によって変化するため、事業主は常に情報を収集し、最新の情報を把握することが重要です。柔軟な対応と企業の発展につながる雇用や教育への取り組みを行い、会社を発展させることを目指しましょう。
【短期の資金調達にはファクタリングが有効】