月末になると、現在利用しているファクタリング会社を乗り換えたいと検討する経営者もいるでしょう。
ファクタリングの乗り換えは、契約しているファクタリング会社を変更することですが、支払い負担が増える月末までに検討することが多いです。
そこで、厳しい月末を乗り切るためにファクタリング会社を乗り換える場合、注意すべき点を把握しておくことが重要です。
目次
【ファクタリング会社が乗り換えを歓迎する理由】
経営者がファクタリングを利用する場合、乗り換えることでキャッシュフローを改善できるというメリットがあります。
乗り換えをする場合、ファクタリング会社側も乗り換え顧客を歓迎しているケースが多く見られます。
ファクタリング会社は、乗り換え先として選んでもらうために手数料を安く設定することになりますが、その分利益は削られます。
そのため、ファクタリング会社にとっては契約に消極的になりがちですが、実際に他社で利用実績がある顧客は約束通り回収した売掛金を入金してくれる優良顧客であることが多いです。
一方、契約違反や虚偽契約などで、取引先から回収した売掛金を流用してしまわれれば、ファクタリング会社にとって大きな損失となります。
しかし、他社で複数か月に渡りファクタリングを利用した実績のある顧客は、今後も取り決めを守ってくれる可能性が高く、安全で優良な顧客と判断されることが多いです。
ファクタリングを利用して未回収となるケースの多くは、資金繰りに窮しているため、取引先から回収した売掛金を使い込んでしまうリスクがあるためと考えられます。
この点は、ファクタリング会社が最も恐れる部分といえます。
しかしながら、すでに他社で利用実績を積んでいる顧客は、手数料を引き下げたとしても安心して取引できる相手であり、回収見込みの高い優良顧客であるため、契約したいと考えます。
銀行融資の借り換えなどはメインバンクとの付き合いなどが背景にあり、合理性などで簡単に契約を変更できないケースもありますが、ファクタリングに関してはそのような縛りがないため自由に乗り換えが可能です。
【ファクタリング会社の乗り換えに不安はない！】
経営者の中には、他社を利用中でありながら、別のファクタリング会社と契約しなおしてもよいのか不安に感じる方もいるようです。
しかしながら、ファクタリングの契約には、他社との契約を制限する「乗り換え禁止」といった規約は設けることができません。
すでに契約しているファクタリング会社があっても、自由に新しいファクタリング会社と契約しなおすことができます。
また、別のファクタリング会社に乗り換えたからといって、これまでのファクタリング会社を利用できなくなるわけではありません。
もし乗り換えたファクタリング会社と合わないと感じた場合には、元のファクタリング会社を再び利用することもできます。
銀行からの借入れなどは負債を増やしてしまうため、資金調達には不向きです。
しかし、ファクタリングは売掛金を売却することで資金調達をするため、負債を増やすことなく手元の資金を確保することができます。
ファクタリングは元々、負債を増やさずに資金調達ができる方法であり、キャッシュフローを改善する有効な手段と言えます。
そのメリットを享受するため、すでにファクタリングを利用している経営者も多いですが、中には長年同じファクタリング会社と取引を続けているために、乗り換えを躊躇している場合もあります。
しかしながら、ファクタリングで発生する手数料は銀行の貸付金利よりも高くなることがあり、手数料が高いファクタリング会社を継続利用することは、かえってキャッシュフローが再び悪化する可能性があることを忘れてはいけません。
【ファクタリング会社を乗り換える時の注意点】
ファクタリング会社の乗り換えには注意も必要です。
簡単に乗り換えてしまうと、予期せぬトラブルに遭遇し、後悔する可能性があります。
(1) 債務の二重譲渡を避ける
債務の二重譲渡とは、1つの債務を2つ以上の当事者に譲渡することを指します。
例えば、売掛金を会社Aと会社Bの2つのファクタリング会社にそれぞれ売却することは、債務の二重譲渡とみなされます。
債務は物理的な実体ではないため、ファクタリング会社を切り替える際には、以前のファクタリング会社に売却した債務の存在を管理し、覚えておくことが重要です。
これによって二重売りをすることを避けることができます。
債務の二重譲渡が発覚すると、ファクタリング会社との取引が不可能になるだけでなく、刑事罰の対象になる可能性もあります。
(2) 信頼できるファクタリング会社をビジネスパートナーとして選ぶ
ファクタリング会社を切り替える際には、信頼できるビジネスパートナーとしての会社を選ぶことが重要です。
ファクタリングは、お金や債務など重要な資産の交換を伴うため、信頼できない会社や疑わしい会社と取引をすることは避けるべきです。
信頼できるファクタリング会社は、契約の早い段階で手数料を明確かつ簡単に説明します。
また、ファクタリングの利点や欠点について質問をすると、丁寧に説明してくれます。
一方、手数料の計算方法が不明確であったり、質問に不十分な回答があった場合は注意する必要があります。
(3) ファクタリング会社の切り替えによって引き起こされる潜在的な問題
ファクタリング会社の切り替えに失敗すると、しつこい連絡や違法なファクタリング会社への切り替えなどが一般的な問題となります。
たとえば、2社間のファクタリングの場合、支払日よりも前に自社に支払いをするように促されたり、ビジネスパートナーから支払いが受け取られたかどうかについてしつこい電話を受けたりすると、通常のビジネス運営に影響を与え、不快感を引き起こす可能性があります。
また、ファクタリング会社の切り替えに失敗すると、高額な手数料や説明されていなかった支払いの要求、悪質な債権回収業者による債権取立てなどの重大な問題が発生する可能性があります。
このような点を踏まえて、ファクタリング会社を切り替える場合は、慎重な検討が必要です。
【安心できる会社選びが最も重要】
ファクタリング会社を乗り換える場合、ひとつの企業に頼るのではなく、複数の企業から見積もりを取得し、比較検討することが重要です。
手数料だけでなく、担当者の対応やコンサルティング能力など、さまざまな要素を加味して判断することをお勧めします。
ファクタリングのメリットは、本来の受け取り予定日よりも早く売掛金を手に入れることができることです。
このメリットを最大限に生かせるファクタリング会社に乗り換えることが重要です。
